白い月という球に

思うまま、わがままに。適当に書き連ねる、つくりものたち。 コメント・トラックバック歓迎です♪

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
雨。
濡れた緑が、窓の外で鮮やかに揺れる。
空は、しかし、この家の中よりは明るい。

ナツメは縁側に腰掛け、静かに外を眺める。
僕はナツメに、温かい紅茶を淹れる。
雨のこちら側で、たぱたぱ、と心地よい音。
湯気が香る。

「はい」と僕は、ナツメの傍にティーカップを置いた。
映る緑。
ナツメはそれをちらりと見遣り、再び外に目を向ける。

「あんたは、いつだって、ヘラヘラしすぎなのよ」
ナツメは、視線を前方に固定したまま、僕を睨んだ。
僕は、ナツメの吐き出す言葉の棘に、微笑む。
「そうやって、いつだって」

ざあ。
風が吹く。
雨の音が、僕らを支配する。
強く。

雨は、自由。

行過ぎた愛は、無数の棘となって、僕の胸を刺すのだ。
しびれるように。
甘く。
僕をこんなにも。
こんなにも。

『……あたしたちは、姉弟だから。』
いつかの、大人びた横顔。

燃えるような。

深い、緑。

「姉さん、愛してるよ」
ナツメは、ばっとこちらを向く。
鋭くしようとした、その瞳は、揺れて。

僕の甘い言葉は、棘となって、ナツメの胸を刺すだろう。
苦く。
思い切り、痛く。
決して忘れられないぐらい、に。

僕は微笑む。
どうか、僕の棘で、ナツメにたくさんの、消えない傷がつけば良いと。

僕は、微笑む。
……それは、祈りにも似て。



スポンサーサイト
テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学
コメント

シビアで人間的。
私の心と感覚がグイーッと引っ張られます。

読み返すと、そのグイーッが深くなる感じがします。
2007/09/11(火) 10:47:09 | URL | たぬき #osd7LS92[ 編集]

ネットだと、描写に気を使います。
私自身、パソコンのディスプレイで長くてまどろっこしい文章を読む気は起きないので、極力文章は短く、という感じ。

小説というのは、文字でできた無機質なものですが、読む人の中で無限の広がりを持ちます。
色や、匂い、音などは読む人の中で、ぱっとイメージとして広がりやすいので、書く側にとっては武器になりますね。

……と、なんとなく頭でっかちなことを書いてみました(笑)
たぬきさん、いつも読んでくださってありがとうです。


2007/09/11(火) 12:30:07 | URL | もみじ #KKhd1Ueo[ 編集]
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://sekainoiro.blog114.fc2.com/tb.php/39-471cafaf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。